誰よりも何よりも傍に




































あなたは忘れてしまうから
どんなに繰り返しても
何度言っても
寂しい所へ行ってしまうから
だから、せめて近くに居る時は、
誰よりも何よりも傍に居たい











日はとっくに昇りきっているというのに、
静かな寝息を立てて眠っているあなたを、
目が覚めて、何度も様子を見て
でも、起きる気配がなくて



何度か、起こしてきて、と言われたけれど、
眠っているあなたを見ていると、
なんだかとても安心するの
どうしてかな?







「・・ん・・?」
「おはよう一方通行。って言うかもう、とっくにお昼だよって、ミサカはミサカは・・」
「・・うるせェ」
そう言ってまた眠りについてしまう。
「ねーもうお昼だよ?起きてよーってミサカはミサカはいつもと同じセリフで起こしてみる」
「・・・」
「・・一方通行ーってば・・・ミサカはミサカはつまらないーってジタバタしてみるっ」
「・・・」
「むぅ」
「・・・・」
眠っているあなたも好きだけど、
「もっとお話したいし、触れてみたいし、色んなものを共有したいのにぃ、ってミサカはミサカは愚痴ってみるー」
「・・・」


温かい日差しと優しい風
ゆっくり肩が上下するのを眺めていると、
段々眠たくなってきて
困ったな、いっつも気づいたらお昼寝してしまって。
本当は、もっともっと・・
まぶたが落ちてきて、
だめだなぁ
眠りに着く寸前
「ん、どこ行くの・・?」
「・・コーヒー」
「・・・・一緒に行く、ってミサカは、ミサカは、ちょっと、眠たい、けど・・」
「寝てろ」
「でも・・一緒がいいって、ミサカはミサ、カは、駄々をこねて、みる」
「すぐ戻る」
「・・ほんと?」
「ああ」
そう言って頭を撫でられると、本当に眠ってしまいそう
「ほんとに、ほんとう?」
「うるせェガキだな」
頭を撫でていた手が、ポンポンと叩いて、
そして、離れていった。






眠たいはずなのに、目が冴えて
追いかけたいのに、睡魔が邪魔をする。
だって、あなたはいつも、ミサカに黙ってどこかに行ってしまうんだもの。
すぐ戻る、一方通行はそう言ったけど
コーヒーが入っている冷蔵庫までの距離は、決して遠くなくて、
飲み終えてからにしても、やっぱり遅くて。
だって、朝冷蔵庫確認したもん
コーヒー入ってたもん
眠りそうで眠れなくて、
段々寂しくなって





「あン?何泣いてんだァ?」
「・・ふぇ?一方通行遅いよってミサカはミサカはふくれてみる」
「・・悪かったな」
がさっと何かが放られた。
「・・・くれるの?」
「他に誰が食うンだよ」
「買ってきてくれたの?ってミサカミサかは驚き半分、嬉しさ半分で問いかけてみる」
「ああ?コーヒー切れた。ついでだついで」
「・・・」
「何だよ」
袋の中にはプリンとコーヒー
ミサカは知ってる
コーヒーは冷蔵庫に何本も入ってること
ミサカは知ってる
一方通行は照れるとそっぽ向くこと
ミサカは知ってる
「わーいってミサカはミサカは大喜びー」
「ったく、安いガキだぜ」
ミサカと居る時
一方通行はミサカの言葉を、一つだって聞き漏らしたりしないこと。
ミサカは知ってる
「いっただっきまーす」
ミサカのお願いを一つでも多く叶えようとしてくれる事
ミサカは知ってる
「おいしぃってミサカはミサカは体全体でおいしさを表現してみるっ」
「暴れンな」
一方通行はたまに優しく笑うこと
ミサカは知ってる
「ごちそうさまでしたーっ」
一方通行はいつだってミサカのことを大事にしてくれること
だからだから、
我侭を言いたくなるの
困らせたくなるの
そんなあなただから
「ありがとう一方通行、ってミサカはミサカは心からお礼を言ってみる」
「おお」
だから
「・・どこ行くの?」
「別にどこも行かねえェよ」
「・・・」
だから、

寂しくても我慢できるの・・・




「・・何やってんだァ?置いてくぞ、チビ」
「・・・っすぐ行くから待ってー、ってミサカはミサカは大急ぎであたなの手を握るっ」
でもでも、
やっぱりあなたの傍にいたくなるのっ





誰よりも何よりもあなたの傍に