upset,similar,how


































それは、いつもの一方的なじゃれ合いの筈だった
クソガキの突撃がいつもより若干速く
コーヒーが零れないように少々無理な体制をした
ただ、それだけだった



テーブルに肩肘ついていた体制が見事に崩れる
見事に、下敷きだった
「ってーな、・・・オイ」
「・・ぁ、・・・・・・・・・・うわーっうわー・・・!!
いつもなら文句の一つや二つ位吐く所だが
あからさまに打ち止めリアクションがおかしい
「なん、だァ?」
つか、このリアクション
打ち止め頬だけじゃなく顔全体が真っ赤に染まる
「つーか、まずどけ」
「ご、ごめ・・」
取りあえず体を起こすと
打ち止めは両手で頬を押さえ、目を泳がせる
「?」
「・・・・ぅ」
あー、思い出した
初めて会ったときの
アレだ
身包みはがしたときと同じだ
で?
「・・・どォした?」
「あ、あなたのほっぺに・・」
「・・・」
「・・ミサ、カの初めてが・・・」
「っ」
確かに当たった様な感触はある

「・・・ぁ、」
「どう考えても事故だろォ」
「あなたにとっては事故でもミサカにとっては重要事項なの!!ってミサカはミサカは・・・う、あ・・」
「そォかよ」
それから、打ち止めは俯いて口を開かない
それが、どれ程重要な問題なのか
俺に理解できるはずもなく
そもそも、こんなものカウントしなければ
いくらでも無かったことにできるだろうに
「消しとけ」
「・・・・」
俺なんかとの記憶は
「削除しろ、俺も忘れる」
「・・・・」
頬の赤が一瞬で消えた
「・・・・」
「なんで?」
そして、表情が強張る
「?」
「なんで消せなんて言うの?」
小刻みに震えて、涙をボロボロと落としだした
「はァ?」
「・・・なん、で・・ってミサカはミサ、カは、確認する」
それは全く予想だにしないリアクションだった
記憶の共有、バックアップができるのだから、
なら削除だって、抹消だってできるだろうと
安易に対して考えず出た言葉だった
それが最善で最良だと判断したから
「あなたはミサカが消したい程嫌がってると思ったの!?ってミサカはミサカは憤慨してみるっ」
「・・・」
「ミサカは物凄く傷ついたってミサカはミサカは感情を抑えられずわなわなと震えてみる」
「・・・・」
面食らって言葉が出なかった



だったら、
じゃあ
どうしたらって
異常な位過剰な思い込みでもしない限り
説明がつかなくなる
ことをわかっていて
その可能性はまず消した
消してしまった

打ち止めは悔しかったのか涙を拭わない
ボタボタと床や膝上に落ちる
「オイ」
「ミサカは今凄く怒ってるってミサカはミサカは意地でも顔を上げないんだから」
「・・打ち止め」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・悪かった」
それは謝罪のためなのに
過剰な思い込みを認めてしまうような気がして

打ち止めは顔を上げた
「ミサカは物凄く怒ってる
「悪かった」
涙は止まっていたが
眼差しがいやに痛かった
「ミサカは」
「・・・」
「ミサカは要求する」
「・・・」
「ミサカは代償を要求するっ」
「・・・?」
「ミサカは失ったものはとっても大きいんだからってミサカはミサカは理不尽に代償を要求する」
「理不尽過ぎるだろ」

そもそも、こいつが体当たりしなけば、
事故も起きなかっただろうに
「・・・・」
「・・・」
「っ、モノか食い物か?」
「・・・・」
「三段アイス」
「・・・・」
「トッピング付き」
「・・・」
「・・・アイスケーキ」
「・・・ミ、ミサカはそんな安くないんだからってミサカはミサカは動揺を隠しながら言ってみる」
頑として首を立てに振らない



代償を捜す
払えるほどの何かを持っているだろうか
何を払えば納得するだろうか
簡単に出てくるのは、いつも食べたいとか欲しいとかって物欲ばかり
代償
同じくらいの代償って
だったらもう
仕方ない
打ち止めの頭を掴む
頬にあてた
同じであろう代償
同じ位の代償には、
「・・・・オイ打ち止め」
「・・・・!・・・・・・」
こちらを向いているのはわかるが、
視線が完全に通り抜けている
「オイ」
「・・・・Σ△*■+〜!?」
奇声が聞こえた
決して言葉には表現できないような
「お前が同じくらいって」
「お嫁にいけない」
両腕を掴まれまた、顔を真っ赤にして言う
「はァ?」
「ミサカはお嫁にいけないっ」
「・・・」
「これはもうあなたに嫁ぐしかないかもってミサカはミサカはあまりに予想外な事態のため正常動作が保障できないかも」
「何でそォなンだよ」
いつにも増して、バカみてェに早口で喋りながら
俺の腕をブンブン振り回したかと思うと
今度はしがみ付いて
超音波のような音を発する
「ミサカはあなたに骨抜きってミサカはミサカは機嫌がもう治ったことを伝えてみる」
「・・・」


もう、何と声をかければいいのかわからず
呆れて、疲れて
ソファ頭を預けて天井を見る
大きく息吸う
「・・面倒くせェ」
「ん〜♪」