コンフォート





















いつものようにソファに転がると
数分も立たずに
部屋中を駆け回る音は俺の近くで止まる
「・・・・一方通行?」
「・・」
「お昼寝中なのかな?ってミサカはミサカは返事が無いので推測してみる」
「・・・・・」
「つまんないなーってミサカはミサカは座り込んでみる」
「・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
ソファに少し重みが加わり
背の部分が下がる
「・・・・」
「・・・・・・・」
小さな指が斜めに触れる
服の模様でもなぞっているのだろう
「・・・・ふふ」
「・・・・」
声は無かったが、暇だ、構えと言われているようだった
「むふふ。全く反応が無ーいってミサカはミサカはあなたが寝ているのをいいことにイタズラを続けてみる」
「・・・・・」
「・・・・・んー・・」
「・・・・・」



特に気にもならないのに、
背に書かれる文字を追ってしまう
一文字ずつゆっくり
ゆっくり
初めは、「あいうえお」とか平仮名の羅列だったが
「らすとおーだー」とか、「あくせられーた」とか
「みさか」とか
すぐにわかるよな単語を綴りだす
書き順を間違えたり、
消しているつもりなのか、手のひらで拭うように撫でる
のが、心地よくなってきて
「・・・」
「・・・」
「ねてるの?」とか「ミサカも眠いかも」とか
段々ペースが遅くなっていって
背に重みが増して
そして、ゆっくりした息遣いが聞こえてくる
「・・ぅ・・・ん・」
「・・・・・」
「・・・・」
「・・・やっと寝たか」
大きく溜息をついて、
少しずつ体を起こす
打ち止めが起きないように
体制を崩さないように
振り返ると、打ち止めはソファに寄りかかったまま眠っていた
何度か肩が上下するのを眺めていた
手を伸ばして、触れたくなる時がある
届くんじゃないか、触れられるんじゃないか、と
けど、そう、考えるだけ



打ち止めを抱えて、ソファに横にする
それは、先の事なのか
夢なのか、願望なのか
脱ぎ捨てられていたいつもの白いシャツをかけると
背もたれと逆に向かって寝返りを打つ
「落ちるぞ、クソガキ」
「・・・んー・・」
寝てるとき位大人しくしてろよ
「・・・・」
「・・・・」
床に座り
ソファにもたれかかる
余程寝相が悪くなければ
自分が壁になって
落ちる事は免れるだろう
ただ、俺の安眠は保障されねェ

手が後頭部に触れる
「・・起きたのか?」
「・・・・・」
「・・」
「・・・・」
目を瞑り
打ち止めの規則的な呼吸音が聞きながら
ゆっくりと合わせていく


目を覚ました時
構えと騒ぎ立てるのだろうか、
背中に書いて文字当てだとか、抜かすのだろうか
またいつものように
そのシャツは俺にかけられているのだろうか、と
眠る