手繋ぎ




















飽きるほど血を浴びて
呆れるほどの命が消して
骨の折れる音
肉の裂ける感触
血の飛沫
開いた瞳孔
音も出ない口
痙攣する四肢
を何度も何度も
繰り返す




「それでねってミサカはミサカは・・・その顔は聞いてないなーってミサカはミサカはっ」
「・・うるせェ」
「何するのー!!ってミサカはミサカは理不尽なチョップに腹を立てつつ、暴力はんたーいって上目遣いで訴えてみたり」
「・・・・」
「・・・あいたっ、何で二度目のチョップ!?ってミサカはミサカは驚愕してみる」
「・・・・」
少し大げさに息を吐く
とんだ微睡だ
こんな他愛もない時でさえ
すぐ思い出すのだから
お前は気づいていなかもしれないけど
豪雨のような赤も、四散した肉片も
死を待つ絶望の声も目も
もう、感触が意識にこびり付いてる
「ってゆーか今日の一方通行はぼーっとし過ぎってミサカはミサカは指摘してみる」
「あン?」
「そんなんじゃミサカに愛想尽かされちゃうんだからってミサカはミサカは彼女気取り〜」
「・・・」
今見えているものも
聞こえているものも
意識なのか現実なのかって
「もう、お話聞いてーってミサカはミサカはあなたの腕をひっぱって実力行使っ」
「っ、引っ張ンなクソガキ」
すぐにまた
日が隠れるみたいに
呼び戻される
真っ暗で、静かで
誰の顔も見えなくて、誰の声も聞こえない世界に
それなのに
「ホントにどうしたの?ってミサカはミサカは心配してみる。なんだか様子がおかしいよ?」
「・・どうもしねェよ」
と小突く
「むぅ・・」
「・・・・」


呆れるだろ
往生際の悪さに
散々奪っておきながら
それでもこうやってまた
触れに来るんだから
「何かビビッと来たかも、ってミサカはミサカはあなたのネガティブシンキングを感じ取ってみたり」
「そンな思考は持ち合わせてねェよ」
最低だろ
もう血なんか泥色にこびり付いて、消せやしないのに
それでも
お前に触れた手と
声と、
表情とかを必死に思い出そうとするんだから
「もう暗いのダメ〜ってミサカはミサカは抱きついてみる」
「って、どけコラ」
思考と現実が混ざりそうで
どうにかなりそうだって
そう思ったらすぐに、色が染まる
日が沈んで、闇色に染まる
元の世界に戻る
そしてまた、さよならだ
「次はいつ会えるのー?ってミサカはミサカは小首を傾げて尋ねてみる」
「・・そのうちな」
もう少しで繋いだ手を離す
近づいて離れてを繰り返す



「一方通行本当に大丈夫?ってミサカはミサカは聞いてみる」
「誰に言ってンだァ?」
「・・うん」
「・・・・」
本当に往生際が悪いと思う
こんなに落ちてしまっても
まだ、消せずにいる
時間も声も感触も
亡くさないように
それだけで俺は、いくらでも生きていける
「危ないことしないよね?ってミサカはミサカは再確認してみる」
「最強舐めンなよ」
手が離れて空気に触れるのを
冷たいと感じる
「・・・・うん、そうだね。またねってミサカはミサカは手をふってみる」
「・・ああ」
離れながら、遠のきながら
散々汚れても尚
またその手を繋ぐことばかり考える