いつかのこと




































それでも、愛してくれますか?




夕食を終えて
のんびり見ていたテレビ番組の途中
映画のCMで
同じ顔の人が沢山出てきた


「わー」
「・・・・」


何年も前に映画化らされた原作のリメイクで
監督やキャストを変えて
今時、に合わせてシナリオも少し改編して
人と人以外の何かとの恋の話
機械なのか、クローンなのか
ミサカは、ネットワークは知らない話

北欧系の女性がゆっくりと腕を伸ばすと
相手はその手を払ってしまう
気が狂ったように当り散らしたり
トラックに轢かれた女性が歩いて来たり
化け物と呼ばれたり
そんなダイジェストのCM

ほんの数秒で次のCMが流れて
続きの番組が始まる





なんだかミサカは胸がざわざわして
落ち着かなくて
ココアに伸ばした手が震えて
両手をぎゅっとする


ミサカは知ってる
誰かに
手を伸ばして
言葉を発して
拒絶されること
拒絶された時のこと
触れられなかったこと
怯えた表情
ミサカは知ってる
ミサカ達は知っている


「はぁ・・・」
「・・ぁ」
一方通行の溜息に驚いて、体が少し跳ねた
「あ?」
「・・・」
今の映像はあなたにどうが映ったのかな
って、遠慮がちに視線を送る

「何だァ?」
「何でも無いかもってミサカはミサカはブルーな気持ちをあなたが掻き消してくれたことに安堵してみる」
「ン?」
「ってゆーか、このまま寝る気なの?ってミサカはミサカはさっきから眠そうなあなたに問いかけてみる」
「あー」


ミサカはね
今がとても楽しいよ
駄々をこねて、あなたに行ってらっしゃいをする時も
寂しいけどあなたの帰りを待ってる時も
お帰りってお迎えする時も
こうやって、一緒に居る時も
それをあなたも望んでくれることも


「お風呂は良いの?ってミサカはミサカはうつらうつらしているあなたに少し声を小さくして尋ねてみる」
「昼間入った」
「抜かりないのねってミサカはミサカは感心してみる」
「・・ンだ?」
「・・・人恋しいのミサカはミサカはあなたが眠いの良いことに寄りかかって甘えてみる」
「・・・」


一方通行は知らないだろうけど
妹達の中にはね
もう恋を覚えている子達もいるんだよ
まだ、はっきりと自覚には到っていないけど
気になる人が居るんだよ
感情の解析は難しくて
ネットワークではまだ
はっきりとした答えは出ていないけど

あのね
ミサカの一緒に居たい、と
あなたの一緒に居たいは違うかもしれないけど
いつか違ってしまうかもしれないけど


「家族って良いもんどすなぁってミサカはミサカは久しぶりにエセ京都弁を使ってみる」
「・・・そ、かよ」
「そうなんだよーってミサカはミサカは答えてみる」
「・・・ン」


ミサカは考える
例えば
ミサカがあなたに違う関係を求めたら
あなたは怒るのかな
呆れるのかな
悲しくなるのかな
はたまた、ストックホルムなんて言われたらミサカは大ショックを受けるかも

でもね
ミサカはホントは知ってる
ミサカが一生懸命伝えたら
ちゃんと正直に答えてくれるって
わかってる
ミサカよりミサカのことを沢山考えて
妹達や今まで関わってきた人達のことを考えて
もっともっと色んなことを考えて

ミサカがどうしてもって言ったら
難しい顔をして
大きな溜息をして
二、三悪態をついた後
最終通告をするの
最終確認をとるの


「ぎゅーってミサカはミサカは寒さを言い訳にしがみ付いてみる」
「・・・」
「っていつもならここでデコピンとかが有る筈なんだけど?ってミサカはミサカ逆に心配してみる」
「ねみぃ・・・だりぃ」
「ふむ、あなたが眠いときは抵抗力が9割減するのねってミサカはミサカはミサカダイアリーにしっかり記しておくんだから」
「・・・そ、かよ」


ミサカは考えるの
この小さな体に沢山を考えるの
あなたと同じ位沢山を

ちゃんといつも届いているから
届けているから
その時が来る頃にはきっと
もっと上手く出来るはずだから
ほんの少し
悲しくなるかもしれないけど
それでも、きっと



コテンと一方通行の頭が傾く
ミサカの肩に
あなたを起こさないように
更にしがみついて
ミサカも眠るの





起きたらミサカのお話聞いてね


いつかミサカのお願い聞いてね




ずっと一緒に居てね