さっきまでの事


































「もー!!」
「うっせ」

「だってだって」
「うるせェ」

「だってー!!」
「うるせェって言ってンだろ、張っ倒すぞ」

「だって」
「・・・」

あからさまに頬を膨らませ
興奮しているのか頬が少し赤い
「だってねってミサカはミサカは説明を始める」
「聞いてねェよ」
「聞いて!!」
「・・」
あーもーうるせー
これ以上は火に油だ

「・ぁ・ぅ・」
「わかったから勝手に喋ってろ」
ぶつぶつとかろうじて音が聞こえる
「あのね」
「・・・」

そこから3分23秒11と、
一息ついてから
5分7秒27

相槌と下手な反論は逆効果だ
そっぽ向いたまま黙って聞き続けた
音を反射したいと思ったの久しぶりだった
「絶対ミサカの方が損していると思うのってミサカはミサカは憤ってみたり」
「はあ」

計8分30秒ちょいは簡潔にまとめられる
妹達と分配した菓子の分量に誤差が有あり、
打ち止めが損をした(被害者の言い分)

ガキはんっとに要領えねえなぁ
「でも、ちょっとすきっりしたかもーってミサカはミサカはごろーんと転がってみる」
「そォかよ」
そりゃ、あれだけ喋り続ければすっきりするだろうよ
そもそも手で分けた時点で誤差が出るのは当たり前だ

「ふー」
「次は分けた奴が後から選ぶようにしろォ」
「ん・・・?おー成程ってミサカミサカは勢いよく起き上がってみる」
「はい解決」
「おおー、流石ねってミサカはミサカは感心してみる」
「やっすい感心だなァ、オイ」
「でもでも今日ミサカが損したっていう現実は変わらないかもってミサカはミサカはまた沸々と怒りがこみ上げてきたり」
「ぬかりねェよ」
「?」
「冷蔵庫一番上の段」
「お?」
「右隅の箱の中」
「何々?」
目を輝かせる

「貰い物のケーキだとよォ」
「きゃーってミサカはミサカは冷蔵庫に猛ダッシュしてみるー」
「どうせ届かねェだろ」
ゆくっり立ち上がる
「早く早くってミサカはミサカは飛び跳ねてみる」
「へいへい」
「何が入ってるのかな?ミサカ苺のってるのがいいかも」
「ほらよ」
箱を開けて中身を見せる
「わ、わ」
「・・・」
「一方通行」
「なに」
「苺ショートがいいけど、チョコレートも捨てがたいね」
「ね、じゃねェよ」
「んーってミサカはミサカは腕組みつつ悩んでみる」
「・・・・」
「黄泉川と芳川はどれがいいかな?ってミサカはミサカは相談してみたり」
「残りもンでいいとさ」
「そっかー、じゃあ一方通行は?」
「誰がンなクソ甘いもの食うンだよ」
「ってことはもしかして」
「2つ」
「やったーってミサカはミサカは万歳してみる」
「皿持ってこい」
「はーいってミサカはミサカは幸せ指数上昇中ー」
「はあ」
「はいってミサカはミサカはお皿を差し出してみたり」
「ン」
ケーキ二つを更に乗せる
「わーい、ありがとー」
「黄泉川に言っとけ」

ケーキ箱を冷蔵庫に戻すついでにコーヒーをとる
さっきまで腹立ててたことなんて忘れてんだろうな
「いっただっきまーすってミサカはミサカは手を合わせてみたり」
「食え食え」
「んーっ」
「・・・・」

さっきまでの剥れっぷりはどこいったのか、
「一方通行」
「あン?」
「はいってミサカはミサカは乗ってたミカンを分けてあげたり」
「・・・ン」
「お味はいかがですかー?」
「甘酸っぱい」
「ふふ」
「・・・・」
コーヒーで流し込む


どうせ多分もう忘れている




さっきまでの事