悪夢の続き








































指先よりも高い温度に
濡れる赤に思うのは
踏み外してしまったこと
一つずつ階段を上っていくと
恐怖や畏怖は安堵を通り過ぎて
異なるものへ進む
そして、その快楽が安堵へ
初めからそうだったように


赤黒い血
ばしゃばしゃと水のように
でも絡み付いて
臭って
焦げて
骨も内臓も血管も、
引きちぎってしまえばただの肉片になる
何の違和感も無く
無常だとか、そういうものだとか
利口に頭を働かせると
ひしゃげた四肢も
はみだす脳も
潰れた顔だってもう
何も
こうやって
簡単に飛び越えていく

茶色の髪
白い肌
何も映さない瞳
掠れていく機械的な声
じわじわと急激に下がっていく温度
その紅に
黒い紅に触れて
舌を
赤みを増す肉を口に
その
小さな体


あ、れ
違う
ちょっとまて
これは違う
だってこれは
その手は瞳は
小さな体は
これは

「っ」
むにっと頬を挟まれる
覚醒したばかりの脳に
あまりにも愉快な情報ばかりが入ってきて、整理に戸惑う
「・・・・・どけ」
腹の上に打ち止めが座っている
「今日は午後からお買い物の約束だよってミサカはミサカは注意してみたり」
「わかったからどけ」
服の後ろを掴んでベッドから下ろす
「いつまで寝てるつもりなの?ってミサカはミサカは指摘してみる」
「すぐ行く」
「今日の朝ごはんはサンドウィッチだよってミサカはミサカは伝えてみたり、
ちなみの中身は昨日の麻婆豆腐なのってミサカはミサカは衝撃の告白」
「味の想像が簡単につくな」
「おいしいんだけど、その組み合わせはどうなの?って感じってミサカはミサカは・・」
「何してんだコラ」
「お腹一杯で眠くなってきたかもってミサカはミサカは目をこする仕種で誤魔化してみたり」
「起こしに来たんじゃなかったのか・・」
「今日は二度寝に絶好なお天気かもってミサカはミサカは分析してみたりっ」
「天気も何も部屋ん中だろ」
「まあまあ細かい事はお気にせずってミサカはミサカは聞こえないフリ」
「・・・」
小さな身体
柔らかい腕
大きな瞳

布団の中よりも高い温度に
眠気を誘われる

鈍い頭が言う
これもきっと悪い夢だ