行ってらっしゃい








































「あのね、ミサカお友達が出来たのってミサカはミサカは報告してみたり」
「・・・」
「お友達できたのってミサカはミサカは繰り返してみたり」
「そうか」
お前はちゃんと陽の当たるところに
ちゃんと進んでるんだな
過去の自分を振り返って、安堵と安心とを浮かべながら
多分複雑な顔をしたんんだろう
「良かったな」
「・・・ぁ、ミサカねっ」
急に手を掴まれた
「あのね、ミサカね、ミサカはね」
「・・・」
必死に言葉を探す
膨大なネットワークの中で必死に
手を掴む力が強まる
「何つー顔してんだてめえは」
「わ」
もう片方の手で額をつけば
ぺたっと座り込む
何を心配したのか、何を不安に思ったのか
別にお前に友達ができても
この家は何も変わらないし
今だって思い出したのは自分過去で
これからのお前じゃない
「良かったじゃねえか、せいぜいガキらしく遊んでろ」
「・・・子供扱い禁止ーってミサカはミサカは異議を唱えてみたり」
「充分ガキだろうが」


「友達出来たの?良かったわね」
いつの間にか芳川も加わる
「うん。これから遊びに行くのってミサカはミサカははしゃぎながら伝えてみたり」
「そう、気をつけてね」
「うん」
打ち止めは返事をしながら自室に向かう
「・・・」
「寂しかったりするんじゃない?」
「・・良いことだろ」
「・・・・そうね」
「・・・」
何か続きがあるのだろう
言葉にするかしまいかといった雰囲気が伝わる
「いいえ、ただ私の方が子離れできないかも」
「・・・いんじゃねえか」
「・・・」
「卒業の度号泣する教師ってのも、随分見ものじゃねえか」
「あら、言ってくれるじゃない」
芳川は少し目を細めて懐かしむように笑う

「行って来るねー」
と玄関に向かう打ち止めに
「携帯っ」
「あ、忘れてた」
ほぼ定例と化したやり取りに呆れながら
「ほんとに学習装置積んでだろうな」
「その筈だけど」
「行って来ますってミサカはミサカは元気良く手を振ってみる」
「ったく」
「いってらっしゃい」
どうかこの先も陽の元に