誘眠効果








































偶に
本気で
自分が生きているのか
わからなくなる時がある

目も見える
息もできる
手も足も動く
それなのに
どうしようもなく
そんな時がある

「?」
「なんだ」
いつの間にかこちら向きに寝返りしている打ち止めと目が合った
「考え事?ってミサカはミサカは確認してみる」
「別に」
「難しい顔してるってミサカはミサカは更に指摘してみる」
「だったらなんだよ」
「お話する?」
「しねえよ」
「むー構ってほしいのにってミサカはミサカは不満を態度で表してみる」
言いながら向こう側へこちら側へと寝返りを繰り返す
「さっさと寝ろ」
「一方通行だって眠れない癖にーってミサカはミサカはこっそり観察していたことを漏らしてみたり」
「あー、そうかい」
「何そのスルーっぷりはーってミサカはミサカは」
「はいはい、寝ろ」
と、掛け布を頭まで被せる
「もーまだ話してる途中なのにーっ」
「んっとうるせえな」
「っていうか!!」
打ち止めは勢い良く顔を出す
「あなたってばお休み前のトークタイムをぞんざいに扱いすぎーってミサカはミサカは抗議してみる」
「なんだぁ?そりゃ」
「おーはーなーしーっ」
短い手と足をバタバタ動かす
「わーったから、さっさと喋れ」
「ぞんざいー」
「めんっどっくせえ」
「ひどい、っていうかそういうこと言うとモテないんだからーってミサカはミサカは芳川と見たワイドショーの分析結果を述べてみたり」
「お前らホントくだらねえ情報ばっか溜め込んでんのな」
「それはミサカと妹達を愚弄してるのねってミサカはミサカは電極切断という切り札に手を掛けてみる」
「・・・・」
打ち止めの前髪をかき上げる
「どしたの?ってミサカはミサカは確認してみる」
デコをはたく
「あいたっ」
「つーかよ、お前その脈絡の無さはどうにかなんねえのか」
「スルーなの?ミサカのおデコはスルーなのね?ってミサカはミサカは驚愕してみる」
「つか寝ろ、もう充分喋っただろうが」
打ち止めが急に起き上がる
「どうした」
「・・トイレ」
「おっまえなぁ」
どうやっても、この忙しなさについていけず
「ミサカはミサカはお願いしてみる」
小さな手が腕をひく

「絶対待っててねミサカはミサカは小声でお願いする」
「わかったからさっさと行け」
トイレ前の壁に寄りかかる
さっきまで冴えていたはずなのに、瞼が少し重い
「一方通行ー」
ドアをコンコンとたたくと
「待っててねってミサカはミサカは再度お願いしてみる」
「居るっつーの・・」
眠い
ほんの数分前まで
冴えて仕方がなかったのに
「お待たせーってミサカはミサカはちょっと照れつつドアを開けてみたりー」
「静かにしろ」
「小声で言ったもんってミサカはミサカはさらに小さな声で囁いてみたり」
「・・・」
「眠たいの?」
いつの間にか床に座り込んでいた
「ガキの相手に疲れたんだよ」
「むー、また子ども扱いするーってミサカはミサカは指摘してみる」
「・・・」
打ち止めが駄々をこねるように腕を引く
「ね、おやすみしよーよー」
「誰の所為だコラ」
「誰の所為でしょう?ってミサカはミサカはしらばっくれてみたり」
「・・・」
眠くなんて、無かったのに
両頬に小さな手が触れる
「なんだよ」
「一方通行体温が高いよ、やっぱりおねむなのねってミサカはミサカは分析してみる」
答えるのも
寝床まで動くのも
色々面倒になって抱え上げた
「寝るぞ」
「わっ・・・ふふ」
「笑ってんな」
「やっぱり温かいってミサはミサカはしがみついてみたり、なんだかこのまま眠っ」
放り投げた
布団にばふっと音を立てて沈む
「もー、びっくりした、、けど、ふふっ」
「あ?」
「今のは面白かったかもってミサカはミサカは初体験したお布団ダイブの感想を述べてみたり」
「次はもっと勢いつけてやるよ」
「えー?ってミサカはミサカはおどけてみる」
「寝る」
「うん、おやすみなさい」
眠くなんて
無かったのに