Life is beautiful








































いつの間にか定位置となったソファに腰掛
いつも通り首を預けると
見計らって奴はやってくる

「えいってミサカはミサカは後ろからアタックしてみる」
「ってーな、おい」
振り向いた拍子に、打ち止めの指が口に入った
「きゃー」
「あ」
喚くガキとは対照的に
無意識のつもりでも
回転の速い脳は分析を進める
指の大きさ、味、温度、匂い
感触
喉を通る唾液
「きったねーな」
「むむ、さっき手を洗ったばかりなんだからってミサカはミサカは石鹸の香りを残す指をつきだしてみたり」
いつかとの詳細な差異
「やっぱ食えたもんじゃねえな」
「ええっ!?食べるつもりだったのってミサカはミサカは驚愕してみる。
いくらあなたがお肉好きでも、ミサカの手はおいしくないよってミサカはミサカは身の危険を感じつつアドバイスしてみる」
「だれがんなクソ不味いもん食うかよ」
「言っておくけど本来の食肉は加工されてて、ってこのやり取りって確か、実験の時に」
記憶力の良さはほんとにお互い様で
都合よく忘れないところは、きっと利点だと
「へーへー妹達に聞いたっつの」
「だからミサカはおしくありませんってミサカはミサカは断言する」
と、こんなやり取りが出来るのがもう
異常だってこと
やっぱりおかしいってこと
言葉が
何かを痛めながら出てきていること

「・・・」
「あ、でもね」
そして、一緒に居ればずっと続くこと
変わるなら可能性があるなら
壊れてしまえば良いって
あの時
「んーと幼児の指しゃぶりは生理的な行動で、食欲を満たしつつ睡眠に移行することで、
至福を得てるわけだからってミサカはミサカは精神安定剤として役割を述べてみたり」
「・・・あ?いつから育児相談になったよ」
「だからねー、食べられると困っちゃうんだけど、でもあなたの精神安定のた、ったい、痛いー」
「なーんだって?」
手近の頬を引っ張る
「うそうそっ冗談かもってミサカはミサカは」
「かもだあ?」
「うそですーってミサカはミサカは訂正してみる、だからほっぺたひっぱらないでー」
「話飛んでんだよ、巨大演算ネットワークが聞いて呆れるな」
「ううっそれどころじゃないかもって、ミサカはミサカは頬を押さえて項垂れてみる」
静かになったのをいいことに、また背もたれに首を預ける

視線だけ向けると目と鼻の先に頬があって
ただ顔を向けるだけでいとも簡単に
口が触れる
「ふふ、ちょっとくすぐったいかもっ」
「・・・」
身をよじる割りに逃げようとしないから
何というわけもなく、ただ甘噛みする
「食べられるーってミサカはミサカはジタバタしてみたりー」
「・・・」
言葉通り足をバタバタさせるから
溜息とは違う息が漏れて、離れた
「で、何しきたんだよ」
「一緒しにきたのってミサカはミサカは答えてみたり」
間髪いれず返すから
少し驚いて、安心して、呆れる
「そうかよ」
「そうだよーってミサカはミサカは首にしがみつきつつ体重をかけて引っ張ってみたりぃ」
「いい度胸じゃねえか」
首を後ろに引かれながら
打ち止めの頬と首の間を撫ぜる
最近発見したこと
「きゃー、首はだめー」
またジタバタするが離れない
「聞こえねえな」
「くすぐったいー」
しがみつく体温が上がり、頬が染まっていく
手を離して
落ち着かせて
それでもまだしがみ付いたまま
少女は少し息を整える

「・・あのね?」
ああ、なに、と
耳だけ傾ける

今日も
明日も