猫の日






































部屋の中で奇妙な声が上がる
それはソファの前までやってきた
軽く握った手を顔の近くまで上げる仕種つきに
コーヒーを飲む手から体が固まる
「にゃ〜んってミサカはミサカは猫のマネ〜」
「・・・」
今日はクリスマスでも無ければハロウィンでもない
そこまで思考をめぐらせて、止めた
生憎状況を把握しようにも
黄泉川も芳川も部屋には居ない
そして、あまりの衝撃に言葉も出ない
「もうお昼だよーってミサカはミサカは寝ぼけてるあなたに指摘してみる」
いや、そんなことは理解しているし、
動けないのは寝起きのせいではない
やっと口をついて出た言葉も随分間抜けだった
「なにやってんだ」
「今日は猫の日なのだーってミサカはミサカは説明してみたり」
「あ゛?」
「にゃん、にゃん、にゃんっ」
「説明になってねえだろうが」
やっと奇怪な行動の原因を把握
「因みに11/1は」
「犬の日ってか」
「あたりーってミサカはミサカは、」
「くだらねえ、つーか1/11でも1/1でもいいだろうが」
「そこは言わないお約束かもってミサカはミサカは指摘してみたり」
「そーかよ」
「とういことで、ミサカは今日一日猫の気持ちを疑似体験することにっ、てあいたー」
デコピン
「暴力反対ーってミサカはミサカは頭を抑えて嘘泣きしてみるー」
「どこが暴力だ」
要するに世話を焼けと言っているのだろう
打ち止めは期待に満ちた目をキラキラさせる
致し方なくあごをなぜると
「にゃ〜」
と気持ち良さそうに、満足気に鳴くから

クリスマス、正月、バレンタインに続く
新たな祭日が記憶されることになった