安心安全





































8月31日
躊躇はしなかった
ただ、何か
身を削られたような、妙な痛みがずっと残っていた

目を覚ますと
すぐ隣に居た少女は喜んでいるように見えた
屈託なく話す様と、思うように体を動かす姿を見て
安堵して
言葉を交わすたびに、刺すような感覚があったけど、
時折思い出すように、比べる程度だった

ところが
「バックアップだ?」
「そう、このミサカの記憶データをミサカネットワークで共有しているのってミサカはミサカは説明してみる」
「お前、それ」
「このミサカが出会った時のこともしっかり覚えてるよってミサカはミサカは付け足してみる」
安心と、少し違う感情と
腕か足か、どこともいえず
力が抜けていくようだった

「・・おい、共有だと」
「ミサカネットワークに共有してるの。実験のデータも勿論ここに、ってミサカはミサカは更に論じてみたり」
「駄々漏れってことじゃねえか」
「このミサカだけが開けるように鍵かけてるのってミサカはミサカはちゃんとセキュリティも考えてるんだから、
でも基本的にこのミサカが見たことは映像配信されてるのってミサカはミサカは付け加えてみる」
「だから、駄々漏れだろうがっ」
「だって、このミサカは不完全な状態で出てきたから心配だったんだもん」
「もんじゃねえ」
「あなたのこと覚えてられてこうやって一緒に居ることが許されて嬉しいかもってミサカはミサカは終わりよければ論を講じてみたり」
「・・・つまりこれからも駄々漏れ&バックアップが行われるってことか」
「勿論ってミサカはミサカは人差し指を立てて宣言する」
「ったく、プライバシーもくそもねえな」

「・・あのね」
「なんだ」
「本当はね、ミサカが忘れたくないだけなのってミサカはミサカは本心を打ち明けてみる。
このミサカはね、あなたのおかげで色んなことを経験して、知識をつけている。
これからもっと、たくさんのことを記憶していくけど、
それは情報じゃなくて思い出にもなるから、
あなたとこうやってお話してることだって覚えていたいってミサカはミサカは精一杯の言葉を述べてみる」
「・・・そうかよ」
嘘のように思えていた
自分だけがしっかり覚えていても
なんなら、気の迷いにでも出来た
ここに居なければ
「うん」
「・・・・」
「それにしても、ミサカを守ってくれたあなたはとっても格好良かったってミサカはミサカは頬を押さえて恋する乙女の仕種をしてみる」
「・・・」
「血を流しながら、手をこうして、このガキがっあいたぁ」
精巧に再現しようとする打ち止めの頭を掴む
「やめろ」
「い、いたい、頭がみしみし言ってるーってミサカはミサ、わかりましたーっ」
「・・・」
「うー」
その頭に手を2回、軽く置いた
「ん?なあに?」
「・・いや」
多分それは
礼の代わり