最愛



































小さな手が膝に触れる
子供らしい甘い香りがして
少し目を開けると、打ち止めの顔が近づく
少しずつ膝に体重がかかって
髪があたって
この先は
近づいた先の候補は
いくつもない
ほんの気持ち程度唇に触った

「起きてる?ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
「・・・・ああ」
「何も、しないのねってミサカはミサカは少し、驚いてみたり」
「そんなこと」
「あなたのことだから、あなたが何かすると思ったからミサカは、なんというか」
リアクションによっては、子供らしく誤魔化すつもりでもいたのだろう
照れる様子はなく、困っているように見えた
「・・大したことじゃない」
「?」
伺うように覗かれるが、それ以上近づいては来ない
ゆっくり目を閉じてそれからまた開く
目を覚ますみたいに
手を伸ばして髪の先に触れれば
警戒するように身をすくめる
「・・・何も」
しねえよ
だってこれは
もうお前のものだ
掬うのも壊すのもお前の自由
好きに使って、物みたいに捨てたらいい
勝手は無い
「・・・一方通行?」
その声は何よりも響いて直接脳へ
間の様々な経路を無視して
そして、脳から全身へ伝達される
腕を掴み掌に頬を寄せても、まだわからない顔をする
そういう風にできていること
いい加減自覚しろ