嫌悪






































「だから、行かねえつってんだろ」
「一緒に行きたいーってミサカはミサカは駄々をこねてみるっ」
ガタガタと勢いよく揺すられて、コーヒーを飲むことも出来ない
買い出しにデパートへ行くというだけで、何がそんなに興味をそそるのか
「行きたきゃ黄泉川に着いてきゃいいだろうがっ」
「あなたも一緒に行くのー」
「行かねえ」
「いーやーだーってミサカはミサカは更に駄々をこねてみる」
また振り出しに戻った
もう10分以上はこの繰り返しだ
「まあまあ、今日は炊飯器を新調するだけで、これといった目的もないし、
また今度吉川も誘って皆で行けばいいじゃんよ」
そんな言葉で打ち止めが納得するわけがなかった
「いーやー!!」
腕を振り回し、その場で地団駄を踏む
ここまで来れば癇癪起こしたガキと変わらない
「・・・・・」
「睨まない睨まない」
わざと大きくため息をつくと
打ち止めが両手を固く握り俯いた
そうやって、周りの空気を感じ取れるだけ、
ただのガキよりマシかもしれないが
その小さな体は震え出す
ああ、これは泣くな、と
「・・・わかった」
思ったときには勝手に了承していた
打ち止めがすぐに顔を上げる
少しの驚きから、嬉しそうに頬が染まるの見て、
安心しておきながら
結局、後悔する
「・・勝手にはぐれたら置いてくからな」
「うん、わかった。気を付けるっ」
そのまま自室で駆けていくのを見て
やっとコーヒーに手を伸ばす


泣かせてしまうことより、喜ばせてしまう方が間違ってるようで
なんでもは許してやれないこと
この先ずっとなんて、約束できないこと
後悔ばかり
「変なとこ器用じゃん?」
「・・何が」
折れてからずっとニヤついている顔を見ないように、
一口、二口ゆっくり飲み干す
「いっつも無く寸前で折れる所。」
「・・・・・」
「そのまま泣いたっておかしくないじゃんよ」
「・・こんなことで、」
「それがさ、あの子にとっては泣くのをやめてしまう程のことなんだよ」
声音が変わって、
またいつもの
見守るような、諭すような表情をしている気がして
口を紡ぐ
「・・・・」
「それだけの意味があるってことじゃん」
間違って叱られることも、正しいと褒められることも
そういう普通が、当たり前のような平和が、気持ち悪い
簡単に勘違いすることが
「拗ねない拗ねない」
当たり前に耐え兼ねていると
またうるさく喚き声がする
「ほれ呼んでるじゃんよ」
煩わしそうに立ち上がり、声のする方へ歩く
「いってらっしゃい」
背にかけられた声にため息で返す
どこにも落ち着く場所がないことを呪いながら
「一方通行、あのねっ」
しがみつかれることに慣れてしまったこと
何れ嬉々とすることを