きっと、いつか




































とある病室

ベッドに横になる
電気を消して
あとは目をつぶるだけ
今日は終わりだ、が、中々終わる気配が無い

「それでね10032号がまた意地悪言ったのってミサカはミサカは腕を組みながら腹正しさを表現してみる」
「・・・そォかよ」
「ミサカが悪いんじゃないのにぃってミサカはミサカは思い出しながら憤慨してみる」
「・・・・ああ」
規則正しい生活なんざ求めていないが、
横になってどれ位時間が経ったと思ってんだ、くそっ
「もー欠伸しないでちゃんと聞いてってミサカはミサカは、」
「こらこら元気が良いのは分かったから、もういい加減寝るじゃんよ」
と黄泉川が声をかけると
「・・・・はーい・・・ってミサカはミサカは返事してみる」
やっと静かになった。



いつみても、何度見返しても
この腕はすぐに折れてしまいそうで、
更にその先の手だって
背に回りきらないから
しがみつくように、抱きしめてくる
そんな何かも小さなガキは簡単に懐に収まってしまう
のが
それが、随分心地良いことを知っている

こんな小さな手でも
俺より温かくて、強いことを知っている

何度世界が季節を変えても
変わらないものがあることを知っている
知らされている

「むふふー♪」
「なんだァ?」
「何でもないってミサカはミサカはあからさまに隠してみたり」
「・・・」

千切れそうになる心が
絡みつきそうになる感情が
綺麗に解けて、溶けて
すぐに凍ってしまいそうになるのに
触れれば痛みすら伴うくらいに冷たいのに
それでも、手を伸ばして
触れて、笑うから
また、溶ける

ふやけていくように、
まるで、許されているような気になるから
その度、慣れるなと言い聞かせる
まだ、ここから俺は動けない
一歩だってまだ、
許されない
俺が許せない
のに

「いつもミサカはお話聞いてくれて有難うってミサカはミサカは感謝の意を示してみたり」
「てめェが勝手に喋ってるだけだろうが」
「うん、それでも嬉しいんだ」
「・・・ちっ・・」

ほら
そうやってまた、溶かすんだ


「痛っなんでいきなりデコピンするの?ってミサカはミサカはおでこを抑えながら尋ねてみたり」
「・・寝ろ」
「うーん。おやすみ一方通行ってミサカはミサカは目を閉じながら言ってみる」
「・・・ん」


このまま、溶かして流れて
跡形もなくなってしまえば
それもいいかもしれない



いつか、
出来れば近い未来で
こんな引け目を感じることなく、触れられる日を
そんな幻に焦がれて
今日も眠る
いつか、と