その目に映るすべてが

「うみー」 「はしゃぎ過ぎ」 「アウル、うみ、うーみー」 「わかったって」 ステラは海が好きだ、 理由なんて知らないけど。 僕は海は嫌い 押しては引いて、引いては押す 触れたかと思ったら、すぐに見失う 触れそうで触れられないから、 だから嫌い 「ステラ」 海に来ると、ステラははしゃぐ。 そうしたら、僕の声なんてまるで聞こえない いつもそうだ、海を見ているときのステラは、 何も聞こえない。 「ステラ」 ほら、呼んだって聞いて無いじゃん 「アウルっうみ、冷たい」 「よかったね」 聞いてないくせに 浅いところで走り回るステラをずっと見てた。 ずっと、そのままでいればいい、 深い所にいかなければいい、 そうすれば、波にさらわれることも無いんだから、 浅ければいい だって 「ステラ」 ステラの腕を掴んだ 「なーに?」 「かき氷食べよう」 「うんっ」 ほら、 浅ければいい、 簡単に捕まえられるから。 「どれ食べようか」 「ステラあれ、青いの」 「マリンブルー?」 また海かよ 「じゃあ、僕いちご」 どれだけ、ステラが海に焦がれても 「ほら」 「ありがとう」 どれだけ、海を欲しても 「んまい」 「冷たい」 僕が捕まえて、さらっていく だから、浅ければいい。 ステラは泳げないから、 浅い所にいればいい。 僕が捕まえるから。 深い所には行かないでよ、 海がすきでもいいから、 波には飲まれないでよ 僕がさらっていくから な、ステラ 「ステラ、それ頂戴」 「うん、ステラもいちご」 「うん」 意外とマリンブルーは美味しかった 「アウル、いちごおいしい」 「うん」 まっ、波にのまれても僕がさらっていくけどね 日に当たって波がキラキラして、 とりあえず、海を一睨みした。 お前にはあげないよ