波の音を聞くと
いろんなことを思い出す。
もう2年も前のことなのに、つい最近のことのように
記憶に鮮明に残っている。
浜に上がった残骸、
あのときの自分。

もうこの浜にあの残骸はない
世界は少しずつ時間とともに変わっていく。
変わらないものなどないというけれど、
この記憶は一生変わることはないだろう。






子供達のはしゃぐ声がする。
浅瀬でニコニコした笑顔を見ると、
何だか無性に懐かしさを感じた。


今は昼。
一番気温が高い、空は雲ひとつない
それがまた、暑さを伝える。


「カガリ大丈夫?日陰に行く?」
「キラ、大丈夫だ。」
「ぼーっとしてたよ?」
「・・うん、海って何か久しぶりだったから、色々考えてた。」
「今日はお休みもらったんだから、遊ばないと。」
相変わらず、キラはニコニコしてる、
ここ数年でキラは、だいぶ変わった。
始めてあったときなんて、何だこのひ弱っとか
男の癖に女々しい奴だと、思ってたんだけど。
それから1年後、オーブですむことになったキラは、
物静かで落ち着いていて、変に貫禄みたいなものがあった。
そして1年で今、有り得ない変わりようだ。
いつもニコニコしてて、何か楽しそうで。
フリーダムで、結婚式を壊しに来た時なんか、
吃驚して声も出なかった。




「カガリさん、キラ、カキ氷いかがですか?」
「あ、ラクスありがとう」
「いいえ。」
「はい、カガリ」
差し出されたカキ氷には、苺がかかっていた。
「ん?ああ、ありがとう」
「折角ですから、日陰でお食べになったらどうですか?」
「そうだな。」
「ラクス、子供達は?」
そういえば、さっきまで騒いでた子供は皆いなくなっていた。
「お昼寝ですわ。」
「そっか。」
海の家は、貸しきりだ。
私たち以外の客はいない。
ここはあまり人のこない所だから。

「わたくしは、様子を見てまいりますわ」
「うん。」



「カガリあっちの日陰行こうか」
「ああ、」

「今日は暑いよねー」
「・・キラはあんまり暑そうに見えないけどな」
「そう?」
「そうだよ。ん〜冷たいv」
シャリシャリする感覚も暑さを紛らわしてくれる。
「おいしいね。ちょっと、カガリこぼし過ぎ(笑)」
「んー?」
地面にこぼれたカキ氷が散らばっている。
「ほんとだ」
クスクス笑うキラの声が聞こえる。
「むっだって食べにくいじゃないかっこんなにいっぱいあったらっ」
「うん。」
どうもこういうのは苦手だ、零さないように慎重に食べても、
反対側からぼろぼろ落ちる。
「・・む〜」
「・・あははは、カガリ何してるの?」
「うるさいっ」
キラはもう、半分くらい食べていた。
器用に少しもこぼさずに
「カガリ、下にこぼしてもいいから、服にはつけないようにね。」
「わかってるよ」








「ふ〜っやっと食べ終わった。」
「そんな必死に食べなくてもいいのにv」
「何か、食べるのに疲れた」
「器かして、持って行って来るから」
「ああ、ありがとう」
「いいえv」




だいぶ涼んだから、日陰から出て、歩いてみることにした。
ちょっと、歩くと、そこには洞穴があった。
中から涼しい風が吹いてくる。
「ここで涼もうかな。」
さっきかき氷を食べたばかりなのに、
汗が頬を伝った。