子守唄
温かくて、甘い香りをかぎながら
ふと泣きたくなった。
口の中に広がる味も、この部屋の温もりも、
酷く心地よかった。
ただ、それだけ。
「カガリ様、会議の時間です」
「ああ、今行く」
大きな戦争が治まっても、紛争は絶えず、
その度に人が死んでいった。
今日もまた。人が死んだ。
モニターの映された世界は、血みどろだった。
無力な自分を責めるのはやめた。
人の顔を窺うのもやめた。
悔やむより、日々努力する。
それでも、どうにもならないことは沢山あった。
その全てが無駄にならないように、
色々な所に視野を置く見方を心がけていた。
紛争の鎮圧、犠牲者の救助
その何れも力が必要で、簡単にはいかない。
そして、また人が死ぬ。
親指の爪を噛みモニターを睨みつけた。
会議が終わり、大方対策も決まった。
辛いことばかりではない。
だが、やはり辛いことに身をおいてしまう。
そして、こういう時決まって現れるんだ。
「カガリー」
「・・キラ?」
「お疲れ様v」
「お前、また勝手に入ってきたのか?」
少々疲れ気味の声が気に入らなかったのか、
「今日はちゃんと面会の受付済ましてきたよっ」
「今日はって、いつもはどうやって入って来るんだよ」
呆れた。
これが私の半身。
「ね、カガリ疲れたでしょ?僕が運転してあげるからおいでよ。」
「うん、そうだな、久しぶりにラクス達にも会いたいからな」
キラはいつも勝手にこの部屋に入ってくる。
そして、些細な会話をする
でも、それはいつも一人でいる空間より、
ずっと心地よいものだと思う。
「カガリ?眠いなら寝てていーよ」
「いや、すぐ着くだろ、大丈夫だ」
「いいから、寝てて、ね?」
「・・ん」
頭を撫でられたら、一気に眠気が襲ってきた。
実際、睡眠不足が続いてて、昨日もろくに寝ていない。
「カガリ、カガリ?着いたよ。まだ寝とく?」
「ん、起きる」
「うん」
思っていたよりも時間がたっていたらしく、
もう、日が沈んでいた。
「お帰りなさい」
キラがドアを開けると、
優しく微笑むラクスがいた。
その声を、笑顔を見た瞬間、
心の底から安らいだ。
「お帰りなさい、キラ、カガリさん」
「ただいま、ラクス」
「ただいま」
いつだって、お帰りと迎えてくれる。
「どうぞ、カガリ」
「ありがとう」
椅子を引いてもらって、
ここに来るといつも座る席についた。
「お食事おすみだと思って、」
目の前に置かれたのは、かぼちゃのスープだった
「うわぁ」
「今日はハロウィンだからね」
「ありがとう。いただきます」
だから、涙を必死にこらえるのが大変だった。
「今晩はゆっくりしていってくださいね。」
優しく撫でる、キラの手がまた心地よかった
ただそれだけ。
お菓子もいたずらもいらない。
「カガリ。また、おいでv」
「またいらしてくださいねvv」
「ああ」