甘やかして甘やかされる













「カガリ、久しぶり」
「キラ。早かったんだな」
「うん、フリーダムで来たらもっと早いのにねv」
「それはダメだろ」
「うん、ダメだって。」
「もうすぐ、書類が終わるから。座って待っててくれ。」
「うん。ゆっくりでいいよ。今回は3日くらい居られるから。」
「そうなのか。」
「ホントは、ずっとこっちにいてもいいんだけどね」
「ラクスどうしてる?皆元気か?」
「うん、ラクスもカガリと同じように忙しそうだよ。」
「そうか。」
「今度の会議でまたあえるって、楽しみにしてるよ。」
「そうか。」
心なしか嬉しそうなカガリを見て、僕はソファに座った。




それから、少しして書類の整理が出来たらしいカガリは
「ん〜」
思いっきり腕を伸ばしながら、うなっていた。
「終わった?」
「あぁ、待たせたな。」
「大丈夫。カガリ、今日はさ、海に行こうか」
「海?」
「そう、プランとって海とか自然じゃないから」
「そうか、そうだな。海に行こう」
「うんv」
「どこの海に行くんだ?」
「いつもの所」
そう言えば、カガリはわかったって顔をして、
ニコニコしていた。
代表としてテレビに映ったりする時の、真剣な顔より、
ニコニコしている今の顔の方が、僕は好き。
私服に着替えたカガリをつれて、いつもの所。
カガリが僕達に住む場所を与えてくれた、海に向かった。








「う〜み〜っ」
「あはは、カガリが叫んでる」
「仕方ないだろ、海なんて私も久々なんだから。」
春を少し過ぎたばかりで、まだ、暑いほど強くない日差しの中で、
カガリは徐に靴を脱ぎ捨て、走っていった。
「カガリ、こけないようにね」
「キラだってこけるなよ、」
「僕はこけないよ」
「嘘だろ、キラのがこけるよ」
「なにそれ(笑)」
危なっかしいって言いたいんだろうけど、
もう僕だって大分落ち着いたし。
でも、こうやってるといつものカガリで、
変わらない所が凄く落ち着く。




「キラ、これプラントにないのか?」
海水がギリギリあたらないところで、
自然の海を見ていると。
カガリが戻ってきた。
「何?」
「海草」
「!!」
「あるのか?」
「どうかな・・」
真剣に聞くもんだから、笑いがこみ上げてきて。
「何笑ってんだよ」
「いや、カガリらしいなって」
「ん?」
よしよしと、カガリの頭を撫でると、
カガリは少し照れる。
「私が姉だぞ」
また始まった
「嘘、僕がお兄さんだよ」
「私だって」
「え〜、僕がお兄さんだよ」
「これは譲らないぞ」
海草を持ったまま力説するカガリを見て、
また笑った。
「カガリそれ置いてきなよ」
「あっそうだ、ちょっと置いてくる」
そういってまた、カガリは海の方へ走った。
「ね、カガリこっち来て」
「なんだ?」
カガリの腕をとってギュウッと抱きしめた。
「うわっ、何だよキラっこら」
行き成りで吃驚したカガリは、じたばたしている。
それでも、そのまま抱きしめた。
「かわいいv」
「キラっ」
「寂しかった?」
「キラ?」
「ごめんね、もっといっぱい帰ってくるからね」
「大丈夫だ。キラもちゃんとラクスのそばに居るんだぞ」
「うん、でもカガリだって心配なんだよ」
「うん」
「遠いんだから、やっぱりフリーダム用意しこうかな」
「キラ;;」
「でも、心配してるんだからね。」
「大丈夫だって、キラ毎日電話するじゃないか」
「うん、だってカガリの声聞きたいから。忙しい?」
「そんなことないぞ、ただ、キラ心配しすぎなんじゃないか?」
「そうかな、だってカガリが好きだから」
そういって、カガリにキスをした。
「んっ、キラ」
でも、カガリは怒らない。
そんなカガリに僕は甘えてるのかな。
「吃驚した?」
「当たり前だ。」
「明日はどこに行こうか?」
「う〜ん」
「どこがいい?」
「どこがいいかな・・キラ苦しい」
無意識のうちに力がこもってたらしく、
カガリが不平を言う。
でも、離せとは言わないから。
「あ、ごめん」
そうやって、カガリは僕を甘やかすから、
だから、僕はカガリに甘える。

それから、しばらくすると暇になったのか、
カガリが鼻歌を歌いだした。
聞いたことないけど、でも何だか落ち着くから、
そのまま声は出さなかった。









明日はどこに行こうかな