きっと少しでも動けば触れることができる













もし動いたならの話
 
  
  
  

冗談

  「あーおいしかったv」 ルイコルムのプリンをみっつ完食したアネモネはとても満足そうに言った   「この前食べたリセーヌのア・ラモードも美味しかったけど、こっちのほうがおいしい」   「また買ってくるよ」 「今度は星鍵の雫のレアチーズがいいv」 「うんわかった」 ♪〜♪♪ 桃色の髪を解く 「今日は自分でする」 アネモネは黒の髪ごむをとり、後ろ髪を左右にわけた 「三編み?」 「そ、デューイとお揃い。」 「うん」   「ねえ」 髪を結う手は止めず。 「プリンもう無いの?」 「あと二つあるけど?」 「もってきて」 「あんまり食べると・・」 「いいから持ってきて!」     「もってきたよ。」 「ありがと。ね、見てこの前より上手くなったでしょ?」 「二つできるようになったのよ、似合う?」 「あ、うん。凄いね。かっかワいいヨ・・」   「ん〜おいしいvv」 「アネモネ」 「?」 頬についたカラメルをハンカチでふいた 「・・・ん」 余程プリンがおきに召したようだ。 そう思いプリンを眺めた じー 「え、何?どうしたの?」 気がつくと、アネモネが僕を見ていた 「もしかしてあんたプリン食べたいの?」 「な、違;;」 「だってこれ見てたでしょ」 「いや、アネモネが、あんまり美味しそうに食べるから」 「食べたいの?」 急にアネモネが顔を近づけた 「ぁ、アネモネ!?」 「欲しい?」 もっと近くに寄る 「っ・・・」 「クスクス」 「ァネモネっ!?」 きっと少しでも動けば触れることができるだろう でも   できない そんなこと決して許されない   「ドミニク」 一瞬悲しそうな、それとも落胆したような顔をして、 でもすぐそれは戻った   「冗談よ」 「あげるわけないじゃない」 「ア、」 「喉かわいた」 「・・・・うん、すぐ持ってくるよ」   飲み物を取りに僕は部屋を出た 「許されるはずがない」 部屋を出て行く背に向けて   「あげるわけないじゃない」 「持ってきたよ」 「ねえドミニク」 「ん?」 『そんなことありえない』