叶わないのも知っていた。 届かないのも知っていた。 それでも、何か書きたくなった。 願いたくなった。 かなえたくなった 「な〜に?それ」 青紫の紙を見て言った 「短冊だよ」 「ふ〜ん」 そう言い、アネモネはカップケーキをほおばる。 「おいしいv」 「今日は七夕だから、」 「七夕?」 「うん、誰かが飾ったんだろうな、ここに来る前に拾ったんだ。」 「ふ〜ん」 さっきより、興味が薄れたようだ。 「アネモネも何か書く?」 「何が?」 「短冊」 「・・・」 「?」 「だから、何よそれ!」 カップケーキのカップだけを投げられた。 「っと、願い事を書くんだよ」 「それで?」 「笹の葉に飾るんだ」 「で?」 「・・・」 「だから、それでどうするのよ?」 「・・それだけだと思う。」 「はあ!?」 「願い事がかなうのを待つだけ、」 「それだけなの?」 「うん;;」 「バッカじゃないの?」 「・・」 おまじないや占いは、女の子が好きなものだと思っていたのだが まったく外れた。 「紙に書いた位で叶うわけないじゃない!」 「ごめん」 「フン!」 紫の短冊を見つめた。 そこには何もかかれていない。 当たり前だ、まだ何も書かれていないものを選んだのだから。 「あ、ねえ、それ貸して」 「・・え?」 「いいから、貸しなさいよっ」 「アネモネ?」 アネモネは短冊に何かを書き始めた。 「出来た!!」 「ん?」 そこには、ル・ソラートのアップルパイが食べれますように!! と書いてあった。 「こうやって使うんでしょ?」 「・・うん」 この前、僕が買い損ねたものだ。 人気が高くて、ものすごい行列で、1日限定6個。 勿論買いそびれた。 その時のアネモネから蹴られた傷は、2週間たった今でも青々と残っている。 「叶うといいね」 「ドミニクが買いそびれなかったら、叶うわ」 「うっ、ごめん」 「叶えてね。ドミニク」 「・・・うん;;」 こんな紙切れじゃ叶うはずないから、 それ相応の願い事を。 叶えるのは織姫でも彦星でも天の川でもない。 そこにいる、 その人。