心残りがないっていったら嘘になるけど
 
  
  
  
ドミニク





自己嫌悪






 

もし伝えることができたなら

出撃時の圧迫感も、響く金属の音も慣れたのに、 今日のそれは、いつもと違う気がした。 ただ、あなたが居なくなっただけなのに。 ただ、それだけなのに。 最後に見たデューイの顔は目だけが笑っていなかった。 違う、いつも笑ってなんかいなかった。 まるで、お前はもう要らないと、言われている様だった。 苦しい。 勝手に流れる涙も、誰も見ていないのならとめる必要ない。 深く深く暗い所に、ニルヴァーシュは居る。 この先に。 勝てる筈無いことくらい、自分でわかってる。 苦しい。 こんなことなら、何も知らなければ良かった。 自分のことも、それ以外も。 ずっと、最初からあたしは要らなかったなんて 知りたくなかった。 死ぬ為に生きてるなんて、知らないほうがよかった。 ほら、どんなに頑張ったて、勝てないじゃない 軽くかわされてるじゃない 「死にたくない、死にたくないよっ」 もう、ここに居ないのなら 居てくれないのなら 生きてる意味なんてないのに それでも、 「死に‥た、くないっ」 「生きてていいんだよ、アネモネ」 それでも 「大丈夫だよ」 そてでも、 「・・だって、ここに居ないんだものっ、 こんなんじゃ生きられないよ・・」 だって、 声がする。 そんな筈ないのに 声がする。 聴こえる。 「・・アネモネー!!」 「う・・・そ、・・・・・ドミニクっ」 もし伝えることができたなら ずっと、そばに居てほしい。 それだけでいい。