好きなもの

「夏ってこんなに暑いのね。」 空調完備のされた部屋にずっといた頃は、知らなかった。 夏は暑いんだと 「冬は、すごく寒いよ」 「寒いの?」 「うん、この辺は雪が降るから」 「雪が降るから寒いの?」 「寒いから、雪が降るのかな、」 「ふ〜ん」 ドミニクはいつも買い物に連れて行ってくれる あたしが、退屈しないようにって、 「はい、」 そう言って、手渡されたのは、光を反射してキラキラ光る白いもの 「これがカキ氷?」 「うん、これかけて」 白の上にピンクの液体がかかる ピンクは好き。 「かわいいv」 「食べていいよ。」 「うんv」 「甘い、おいしいvvそれに冷たい。」 「よかったね。」 「ありがとう。」 まだ、この世界には知らないことがたくさんある。 おいしい物も楽しいことも、 それを知ることが出来るのは本当にうれしい。 「カキ氷はおいしいわv」 「よかった。」 あたしが笑うと、ドミニクが笑うから だから、あたしは笑顔が好き あたしが話すと必ず、ドミニクは聞いてくれるから だからあたしは話すのが好き。 この前食べた、ソフトクリームも、 それに似た入道雲も、 さっき見つけたヒマワリも好き。 空も海も あたしは、世界が好き。 ドミニクが好き 海の波の音が聞きながら、 かき氷を食べる、 シャリシャリした感覚が好き。 髪を触れてくれる、ドミニクの手も好き。 「海の水も冷たいよ」 「ここは暑いのに?」 「水は冷たいよ。」 かき氷を食べ終えて、ヒールのある靴を脱いで、 あたしは、海に足をつけた。 「〜う、冷たいっ」 「大丈夫?」 「でも、気持ちーv」 やっぱり海も好き。 綺麗な蒼も、潮の匂いも 空も好き。 好きなものがたくさんある、この世界は好き。 「ドミニク、ありがとね」 「うん」 「大好きv」 「ありがとう//」 手を繋いで、水平線を見た。 この世界を、もっと好きなれる気がする。 あたしの好きなもの