歪み

「イヤよ、いやっ頭痛いの!」 「っ、くそ!アネモネっ」 大佐の連れてきた、この子供達は いったい何なんだ。 我が物顔で軍を仕切り、圧倒的な威圧感を放っている。 指揮官としている以上、逆らうことができない。 「どういうつもりだっ」 「梃子摺っているようにみえたものですから。」 「やめてっ・・ぐぁっ」 いつも自分がしている事が、こんなに残酷なものに見えたのは初めてだ。 「アネモネ、っ・・・」 「ふふ、離しなさいよ。」 「アネモネ」 薬が効くと、子供達はさっと、手を離し、 そのまま、ブリッジに戻っていった。 「行ってくるわっ」 「・・・気をつけて」 大佐はいったい何を考えているんだろう。 the-endを見送りながらそう思った。 アレのことは君に一任している。そう言ったのは大佐だ。 大佐にとってアネモネとは、何なんだろう? 「the end被弾!」 「何!?アネモネは無事か、通信を繋げ」 「はい」 「勝手なことするのはやめて頂きたいと、何度言わせるつもりでしょう?」 子供達を一瞥した。 「ほおっておきましょう。問題はありません。」 「そうですね。」 「通信繋がりました。」 「アネモネっどうした、何があったんだ?」 「イヤ、イヤ、何よあれ、何なのよっ」 「アネモネ?」 「勝手な行動はやめて頂きたいと、行った筈です」 「そうです。勝手にあの船を追っておきながら、手ぶらで帰ってくるなんて」 そんなこと、どうでもよかった。 「アネモネ?大丈夫?」 「・・」 アネモネは、小刻みに震えていた。 余程のことがあったのか、 目は空ろだった。 「この件大佐に報告させていただきます。」 「えっ?」 その瞬間、アネモネは顔を上げた。 「なっ、月光号はこのままにしておけば、脅威になりかねないっ」 「あんなもの1隻で何かできると言うのですか?」 「大佐の理想はもっと高い所のあるのです。」 「くっ」 言うだけ言って、子供達はまた、ブリッジへ戻っていった。 「アネモネ」 「どうしよう、ドミニクっあたし、デューイが」 「落ち着いて、大佐には、僕が言っておくから」 「でも、あいつらっ、」 「アネモネ」 「あたし、捨てられる?」 「そんな事ないよ、大佐はそんな事しない」 「でも、」 「アネモネ、部屋に戻ろう?」 「・・うん」 アネモネを一人にはできなかった。 アネモネにとって、大佐は絶対だ。 アネモネの手を引き、部屋に入った。 「アネモネっ!?」 「っ、・・ぅ、ぇ」 「アネモネ?大佐にはちゃんと、」 「だって、、あたし・・・」 「アネモネ」 いつもなら、跳ね除けられるだろう腕も 殴られる痛みもなかった。 きつくないように、抱きしめた。 「アネモネ」 「っ、、、」 なんとなく、違和感を感じていた。 こんなに泣いてる女の子を、戦わせる理由が本当にあるんだろうか。 少しずつ歪んでいる気がした。