「どうしてわからないんだっ」
「何でわかってくれないのよ!!」
もう何度目になるだろう。






無知と無力

「あたしに次なんてないの!失敗したら捨てられるのよっ」 「そんなことはない。大佐がそんなことするはずない。まず、休息をとるんだ」 「だから、あんたはなんでわかんないのよ!!」 ほら、届かない。 「アネモネっ」 彼女がドアの方へ向かうとドアは勝手に開いた。 「時間です。発信準備を」 例の大佐が連れてきた子供が一人いた。 「・・アネモネは、まだ回復していないっ」 「行くわ。デューイがそれを望んでるんだから」 「なっ・・」 「当然ですよ。これは大佐の命令です。」 ほら 「っ・・アネモネ」 伝わらない。 アネモネは、振り返らずに部屋を出て行った。 今の自分にはアネモネをとめる権限も、力も、言葉もなかった。 「参謀殿も急いでください。」 「・・」 言葉は返さずに部屋を出た。 「っ・・うぐ」 「アネモネ!?まさか自分で射したのか」 アネモネはthe-endの前に、倒れこむように座っていた。 「うる、さいわね。・・まだ文句、があるの?」 声に力はなく、目は虚ろだった。 「やはり体調が悪いんだろ?大佐には、僕が伝えておくから」 「だからっ、あたしにはもう次がないのよっそれとも、あたしに死んでほしいの?」 そう言った彼女の顔は、笑ってるようで、泣いてるようだった。 何も言葉が出てこなくて、 でも、目を背けることもできなかった。 「あんたは何も知らないのよ、あたしが負けたらデューイはあたしを殺すわ」 アネモネはthe-endを見つめた。 何か、何か言葉にしようと、必死に口を開いた 「・・・でも、次はきっと勝てるよ、この前は向こうが」 「軽い言葉ね。」 「アネモネ?」 「ムカつくのよ、何も知らないくせに、大丈夫だとか気休めばっかり!!」 「あんたに何がわかるのよ!!」 何も言えなくて、何もできなくて、ただ謝る事しか思い浮かばなかった。 「ごめん」 バシっ 「あんた最低ね」 ぶたれた頬よりも、投げつけられた言葉よりも、 掴めなかった腕よりも、アネモネの涙の方か痛かった。 「・・・ごめん」 「あんたそればっかり」 顔は上げられなかった。 涙交じりの声は、聞くのも辛かった。 「行ってくるわ」 「・・気をつけて」 届かなくても、伝わらなくても、アネモネを救いたい。 そう思うことがもう、彼女を傷つけているような気さえする。 『あなたは何も知らないのね』 まだ、届かない。