理由ならあるわ
デューイが望むから
 






何も返すことができなかった 


横顔が泣いているようだったから 
 











〜reason〜





















「タイプジエンド発進準備おねがいします」










 
止めないといけないのに、かける言葉が見つからない。




届かない 
何も伝わらない
心に触れられない
 







「アネモネ」


その手は空を掴むかもしれない
それでも
 



「・・何よ」
 
 


後ろから細い肩を抱き締めた


蹴られることも、振りほどかれることもなかった 
 




「・・・っ」


それでも言葉はでなかった
 








「・・・アネモネっ」
 








「何?」
 



きっと僕の手も声も震えていただろう
 



「馬鹿にしてるの?あたしが死ぬわけないじゃない」



 
声にいつもの力は無かった
 



 
「アネモネ」



 
 

 
「行くから離して」
 
 




時間だ
 
腕は僕が解いた



聞きなれた、ヒールの音
なのに、遠ざかっていく筈その音が
耳鳴りのように纏わりつく













 

「・・・・・・・・ドミニク」
 









「どうしたの?」
 
 



ひらかれた口は言葉を発さず、閉じられた





振り向いた顔は読めなかった 





「・・なんでもないわ」