守る為の身代わり

この手は醜い この手は汚い 血よりも汚いもので染まっている この身は汚い 発する言葉も 抱きしめる腕も 触れた唇も 全てが醜い 「薬の時間だよ。」 そう言って何度彼女に毒を盛っただろう。 どれだけ傷を負わせただろう。 一人でいる苦しみを自分は知っていた筈なのに どうして守れなかったんだろう。 なんで、守らなかったんだろう。 何故、逃げたんだろう。 そうするしか、アネモネを引き止められないから 命令だとか、世話役だとか言わないと 傍に居られないから。 それでも、助けたいと思うなど矛盾している。 救えない癖に。 弱い癖に。 それでも、本気で守りたいと思ったんだ。 アネモネが泣くまで気づけなかった。 今になるまでわからなかった。 「あなたは何も知らない。」 そう言ったアネモネの顔。 何も信じられないと言う目。 触れたら消えてしまいそうな体。 傍に居られなくなっても。 嫌われても。 守りたい。 言葉だけじゃなくて。 全て。 守りたい。 アネモネ 僕は決めたよ